特集NO3 縄文の万葉集


渡邊さお里

日本最古の歌集、万葉集は、

古代の人の心が映し出されています。

万葉集に書き記された数々の言葉は

1200年前に書き留められたものですが、

その中には数千年に及ぶ縄文の人々の愛と和を

守り伝えている言葉も少なくないと思われます。

だからこそ今も変わらず、美しく愛にあふれ、

心を熱くさせる作品が心に飛び込んでくるのです。


今も昔も、人々は純粋に人を愛し、

ひたむきに生きてきました。

古代の人は、厳しくも美しい自然環境と共存するなかで、

目に見えないものへの畏怖を抱き、

また、信じてきたのではないでしょうか。

想いや祈りなどは言葉にすることにより

「言霊」として言葉に力が授かると信じられ、

「結ぶ」ということは、自分の魂を結び込め、

愛する人を守るという、祈りの行為だったといわれています。


人々は純粋に人を愛し、悼んできました。

万葉の世界に人間の根源的な姿を探そうとするとき、

そこに真の姿を力強く感じさせられます。

ひたむきに、真っ直ぐに生きる人々の言葉。

言葉には魂が宿るといわれたように、

多くの方々が言葉に祈りを込め、生きた証を

刻んできました。


万葉集は奈良時代末、舒明(在位629~)に編まれて以降、

最後の歌(天平宝字3年・西暦759)まで約130年の間、

全20巻約4500首に、縄文の心を守り伝える庶民から、

弥生の色濃い役人や天皇に至るまで、幅広い人々の心が

映し出されてきました。

いわば万葉集は縄文と弥生のコラボレーションと言えます。



■続く